“古都の混迷”の結末は 京都市長選挙

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記事 特集記事 “古都の混迷”の結末は 2024京都市長選挙
2024年2月4日特集記事
“古都の混迷”の結末は 京都市長選挙
京都市長選特集サムネイル
2月4日に行われた京都市長選挙は異例の展開となった。
告示の直前、ここ京都でも、有力とみられていた候補の1人に「政治とカネ」の問題が疑われる事態が直撃。党勢拡大を狙ってこの候補の推薦を決めていた日本維新の会が自主投票を余儀なくされ、構図が一変した。
有権者113万人を揺さぶった“古都の混迷”の結末は。

(京都市長選挙取材班)

35年ぶりの衝撃
去年11月、京都市内で開かれた村山祥栄の立候補会見。

会場は高揚感に包まれていた。
村山の両脇には、推薦を決めた日本維新の会代表の馬場伸幸と、当時の国民民主党京都府連会長の前原誠司の姿があった。

「民主主義には選択肢が必要だ」
前原は、そう高らかに宣言した。

京都市長選で、繰り返されてきた「非共産対共産」の構図が35年ぶりに崩れた瞬間だった。

京都では、1950年から7期28年にわたり、共産党が中心となって支える革新系の知事が府政を担うなど、共産党が伝統的に強い地盤を持つ。
このため、府知事選や京都市長選では、国政の与野党が協力して共産党系の候補と争ってきた。
去年8月、4期目となる今の任期での退任を表明した京都市長の門川大作も「非共産」側の支援を受けてきた。ここに第3勢力として、維新と前原がタッグを組んで参戦する形となったのだ

京都に緑色のポスター
村山の推薦を決めた維新だったが、当初は、党勢拡大の足がかりになる重要選挙と位置づけ、党の「公認候補」の擁立にこだわっていた。

しかし、候補者選びは難航。
京都市で強い地盤を持つ前原が、維新の公認候補に推薦を出す形に難色を示したことが理由の1つ。さらに、本拠地の大阪に隣接し、京都市長選の「前哨戦」とみられた京都府八幡市の市長選で公認候補が自民・公明両党と立憲民主党のいわゆる相乗り候補に敗れたことなどもあり、無所属の村山への推薦に転じた。

元京都市議の村山にとっては3回目の市長選となる。

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NHK政治マガジン

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2月4日に行われた京都市長選挙は異例の展開となった。
告示の直前、ここ京都でも、有力とみられていた候補の1人に「政治とカネ」の問題が疑われる事態が直撃。党勢拡大を狙ってこの候補の推薦を決めていた日本維新の会が自主投票を余儀なくされ、構図が一変した。
有権者113万人を揺さぶった“古都の混迷”の結末は。

(京都市長選挙取材班)

35年ぶりの衝撃
去年11月、京都市内で開かれた村山祥栄の立候補会見。

会場は高揚感に包まれていた。
村山の両脇には、推薦を決めた日本維新の会代表の馬場伸幸と、当時の国民民主党京都府連会長の前原誠司の姿があった。

「民主主義には選択肢が必要だ」
前原は、そう高らかに宣言した。

京都市長選で、繰り返されてきた「非共産対共産」の構図が35年ぶりに崩れた瞬間だった。

京都では、1950年から7期28年にわたり、共産党が中心となって支える革新系の知事が府政を担うなど、共産党が伝統的に強い地盤を持つ。
このため、府知事選や京都市長選では、国政の与野党が協力して共産党系の候補と争ってきた。
去年8月、4期目となる今の任期での退任を表明した京都市長の門川大作も「非共産」側の支援を受けてきた。ここに第3勢力として、維新と前原がタッグを組んで参戦する形となったのだ

京都に緑色のポスター
村山の推薦を決めた維新だったが、当初は、党勢拡大の足がかりになる重要選挙と位置づけ、党の「公認候補」の擁立にこだわっていた。

しかし、候補者選びは難航。
京都市で強い地盤を持つ前原が、維新の公認候補に推薦を出す形に難色を示したことが理由の1つ。さらに、本拠地の大阪に隣接し、京都市長選の「前哨戦」とみられた京都府八幡市の市長選で公認候補が自民・公明両党と立憲民主党のいわゆる相乗り候補に敗れたことなどもあり、無所属の村山への推薦に転じた。

元京都市議の村山にとっては3回目の市長選となる。

立候補表明する村山氏
村山祥栄氏
過去2回は国政政党の推薦を受けず、大敗していたこともあり、支援の必要性を感じて維新の公募に応じた。

関西で勢力を伸ばす維新は、去年4月の京都市議選でも改選前の4議席から10議席へと躍進。
一躍、“有力候補”となった村山の関係者は「初めて市長選を戦う態勢ができた。勝てるチャンスが舞い込んできた」と話した。

村山自身も立候補会見で「薩長同盟はできた。旧態依然とした体制に戊辰戦争を仕掛け、新しい京都の夜明けをここから築きたい」と目を輝かせた。
立候補表明以降、京都市街では、村山と維新共同代表の吉村洋文が写った緑色のポスターが目に付くようになっていった。

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「京都エリート」擁立

一方、自民・公明両党と立憲民主党を中心とする「非共産」勢力は、京都市長の門川が退任を表明すると、早速、後継候補を選ぶために動き出した。

自民党京都府連顧問で、元衆議院議長の伊吹文明の呼びかけで、経営者や医師、学生などでつくる有志の会が発足。

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伊吹文明氏(左)

幅広い政党や団体の支持を得るため、有志の会が、理想とする市長の要件や政策を提言し、候補の擁立を目指す仕組みを構築した。
「府・市の協調ができる」、「中央との人脈や折衝能力」、「市民の心根を理解できる、京都に地縁・血縁のある人」などが要件として挙げられた。

自民・公明両党と立憲民主党が有志の会の提言に賛同を表明する中、白羽の矢が立ったのが松井孝治だった。
松井は旧通商産業省の元官僚で、2001年には当時の民主党公認として参議院京都選挙区から立候補して初当選。鳩山内閣では官房副長官を務めたほか、政界引退後は慶應義塾大学の教授を務め、「政策通」として知られていた。

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松井孝治氏(左は当時、官房副長官)

実家は京都市中心部の老舗旅館だ。

松井は、与野党が相乗りしても幅広い支持を得られる候補として、各党の中では、早くから名前が挙がっていた。
「松井は旧民主党出身だが、議員を引退したあとは、旧民主党を批判するなど、政策が保守的で、うちも乗れる」(自民関係者)。
「中央で対立すると言っても地方は別。元民主の松井は応援しやすい」(立民関係者)。

選定に関わった自民党府連の関係者は「逸材を擁立できた」と自信を見せた。

“保守分裂”に危機感
しかし、盤石の体制を固めたはずの松井陣営には懸念材料もあった。

国家公安委員長を務めた二之湯智の次男で自民党京都府議の二之湯真士が、去年9月、自民党府連の候補者選定のあり方をめぐって反旗を翻し、いち早く立候補を表明。その後、離党届を提出した。(後に除名)。

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二之湯真士氏

これにベテランの市議も同調し、保守分裂の様相を呈していた。

また、去年11月の松井の立候補表明からほどなくして、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題が表面化。
このため、当初は松井を支援するはずの自民党の府議や市議が表立って活動を控えるという事態に陥った。

「少しでも風が吹けば、維新に市長を明け渡すかもしれない」
自民党府連の関係者は日に日に危機感を募らせていった。

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