映画感想17 「ROMA」 7.4/10
ヴィネツィア国際映画祭で金獅子賞、ゴールデングラブ賞監督賞など名誉ある賞を数々受賞したと評判だった「ROMA」を見ました。Netflixオリジナル作品です。
「ゼロ・グラヴィティ」のアルフォンソ・キュアロン監督が脚本・撮影まで手がけた作品として注目を集め、2018年最高の映画と評されていました。評価が高すぎたせいか、激しく心揺さぶられることを期待していましたが、物語は淡々と進んでいきます。
舞台は改革運動に揺れる1970年代のメキシコ。白人中流家庭に仕えるメイドの1年を描いた物語
舞台は1970年代のメキシコ。高度経済成長のさながら、左翼化によるデモが巻き起こる激動の時代です
主人公は、メキシコの中産階級の家庭に使えるメイド・クレオ。彼女視点で1年間が描かれていきます。白人家庭の旦那さんは出張と言いながら浮気をし、家庭は崩れていきます。クレオは友人の知り合いとして知り合った男性と恋をし、妊娠をしますが、そのことを知った彼は彼女から遠ざかっていきます。。。
監督が映像まで手がけていることもあって、その当時の雰囲気を感じることができます。その時代とその境遇を生きる一人の生き方に没入できるのが映画の良さですね。
白黒映像が境遇の物悲しさを効果的に伝える
白人家庭に支える原住民という形は中南米では一般的に見られる光景ですね。階層社会とモノクロの映像、そして激動の70年代ということでどことなく物悲しさが伝わってきます。
クレオに対しての家族や恋人の接し方は、時に苦い気持ちを感じさせます。懸命に勤めを果たすクレオと彼女に対する家族からの愛に安心し、苦いながらも安堵を感じます。
アルフォンソ・キュアロン監督が幼少時代の原体験を基に作ったこの作品、メイド同士の会話や境遇もリアリティがあります。
高すぎる前評判ほどのインパクトはなかったかなぁ
モノクロ映画の中で、大きな演出はなく淡々と物語は進みます。
2018年最高傑作という評判を聞いて何か大きなイベントがあってそれによって大きく人生が変わる、とか圧倒的な絶望に襲われるぐらいの衝撃を期待していましたが、起こりうるリアルなイベントと日常風景が綺麗な映像で描かれている作品でした。
悲しい9割の中に幸せ1割を見つけられる、そんなリアルな人生を感じます。
当時のメキシコの時代を擬似体験できるという意味では興味深かったです。